妊孕性温存ができなかった方へ

  • TOP
  • 妊孕性温存ができなかった方

がん治療前に、妊孕性温存療法をお受けにならなかった方へ

4-1

 この数十年でがん治療の進歩により、がん治療後の生存率は向上しています。そのため、がん治療を終えた患者さん、つまりがんサバイバーの人数も増えており、治療後のライフプランをどのように送るかが考えられるようになりました。しかし、ある種類のがん治療は、その副作用が治療期間を終了しても残る場合があります。

 晩期障害と呼ばれるこの副作用は、がん治療が終了してから数ヶ月または数年後に発生することがあり、この長期および晩期障害には、身体的、精神的な障害が含まれます。晩期障害の一つに生殖腺(精巣、卵巣)におよぼす影響があります。

 がんの治療と妊孕性の温存については、近年検討が進められてきています。まだ新しい分野であり、がん治療という重大な治療の前に、妊孕性温存治療を知らなかった、もしくは受ける機会がなかった方が大多数であるのが現実です。ある種のがん治療は、妊娠する機能や身体の機能を維持するのに重要なホルモン分泌器官、例えば精巣や卵巣にダメージを与えることがあります。その影響は症状としてはわかりづらいことがあります。また、性線機能自体が年代によって変化していきます。そのため、お受けになった治療の内容とそのリスクとその後の影響については主治医に御相談ください。そして、妊娠する機能やホルモンに関してリスクがある治療を受けた方は、泌尿器科や産婦人科医に評価してもらってください。

 あなたが受けた治療の内容と現在の状況、そして今後のフォローの仕方を知ることは、健康で長い人生を送る上で重要です。

 以下、男性と女性の性腺への影響とその問題点や必要な治療法についてお示しします。

page up