「日本の「がん・生殖医療」発展のために」

がん治療と妊娠~がん治療後の将来を見据えて~

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地域医療連携の紹介

東京都

国立がん研究センター中央病院にて、がん医療と妊娠の相談窓口が開設されました。

 国立がん研究センター中央病院 相談支援センターでは、がん医療と妊娠の相談窓口を開設いたしました。この相談窓口では、がん患者さんやそのご家族の方から、がん治療と妊孕性に関するご相談について、電話および対面にて受け付けています。たとえば、自宅近辺で受診できる生殖医療施設やセカンドオピニオンのための施設の紹介などを行っています。
 ご相談内容にあわせて、一緒に解決策を考えるお手伝いをしております。がん医療と妊娠について悩みを抱えているようでしたら、一度ご相談ください。精神科の医師、ソーシャルワーカー、臨床心理士などの専門家が、りがん・生殖医療に関する情報提供や精神的なつらさの支援を行います。

詳しくは、下記外部サイトをご参照ください。
がん医療と妊娠の相談窓口のご案内 http://www.ncc.go.jp/jp/ncch/consultation/fertility.html


岐阜県

岐阜モデル

 岐阜県では、平成25年2月15日に「岐阜県がん・生殖医療ネットワーク」が立ち上がりました。このネットワークは、若年がん患者さんに治療前に妊孕性低下に関する十分な情報提供、カウンセリングや妊孕性低下の予防処置の適応の検討やその選択肢の提供を円滑かつ迅速に提供することと、がん治療医および生殖医療専門医が連携・情報交換を容易にするためのものです。ネットワーク発足時点で県内のがん治療、生殖医療、行政、医師会、医療倫理学の各分野から平成25年2月15日現在24施設、52部門(診療科等)から116名の各分野の専門家が参加しております。
 参加者へのアンケートの結果からは、岐阜県内のがん治療医は治療(手術、化学療法、放射線治療)による妊孕性低下について一定の知識を持ちながらも、その対策について環境が整備されていないため、患者に対して十分なカウンセリングや各種選択肢の提案に躊躇している現状がうかがわれました。
 がん治療医と生殖医療専門医がお互いの分野を超えて対応するネットワークが患者への情報提供やその後の対応を円滑に行う上で非常に大きな役割を果たす可能性が再認識されました。
 また、平成25年2月18日には岐阜大学医学部附属病院がんセンター内に「がん生殖医療相談」を開設し、このネットワークを通じて医療機関の垣根を越えて患者さんのがん治療と妊孕性に関するカウンセリング、妊孕性温存治療およびがん治療後の不妊治療のために適切な生殖医療施設への紹介を目的としています。
 更に岐阜大学医学部附属病院では、がん治療前後の卵巣凍結保存と融解卵巣組織の自家移植についても対応可能となりました。
 この取り組みを通して、岐阜県の医療従事者全体で若年がん患者の皆様に対する治療前の不安の軽減、妊孕性温存処置、がん治療後の妊娠のサポートに貢献できればと考えております。

ぎふがんねっと(将来の出産に備えて) http://gifugan.net/wp/norikoeru/syussan/
岐阜大学医学部附属病院がんセンター http://hosp.gifu-u.ac.jp/center/gan/index.html

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岐阜県がん・生殖医療ネットワーク(GPOFs)ミーティング2014を終えて

古井辰郎

 昨年に引き続き、2月14日にGPOFsのミーティングを開催いたしました。金曜日でバレンタインデー、さらに大雪にまで見舞われ、勉強会の開催にとっては重なる悪条件の中、がん治療および生殖医療に携わる医師、看護師のみならず、倫理学、臨床心理学、行政など幅広い分野を専門とする、約50人のOncologic health care providersの参加をいただき、熱いディスカッションを交わす事が出来ました。
 会に先立ち、コーディネーターおよびアドバイザーの先生方と、本ネットワークの問題点や運営方法に関する意見交換の場を持ちました。
 会の前半では、「第1部 若手腫瘍医によるワークショップ(JSFP教育プログラム)」として、岐阜県内の主要がん治療施設より乳腺外科、外科、小児科、泌尿器科、整形外科6人の若手腫瘍医の先生方にご参加いただきました。ここでは実際の症例を提示し、その経過に沿って各ステップで個々が疑問に思う点、考える事、そしてどう対処しているかなどを話していただき、JSFPから鈴木理事長、高江幹事長、特別講演の高井先生も交えて、がん・生殖医療を実践している側とともにディスカッションしながら進行致しました。今回は、25歳未婚、Ⅲ期のtriple negative乳癌症例、38歳既婚(出産歴無し)のⅡ期乳癌(Luminal A)の2症例のディスカッションを行いました。特に前者においては、非常に悩ましい問題を包括しているため、乳癌治療医以外のパネリストも考えさせられる点が大きかったようでした。
 こういった実際の症例を通して、がん・生殖医療を考える上で、がん治療を最優先することは大前提であるものの、治療と妊孕性に関する情報提供(できれば温存処置)に関しては、がん治療医と患者の間で「思い」に温度差が依然存在していること、それを「がん・生殖医療外来」のようなものが適切に埋めるためにはどうすべきか考える事の必要性を実感致しました。最後のまとめとしては、高江先生から若年がん患者の妊孕性の問題を考える上で、がん治療の内容、患者の年齢、子供の有無、などを総合的に考える必要があり、個々の症例毎に慎重に考えることの重要性が強調されました。
 実際の症例を用いたパネルディスカッションという初めての試みで、不手際や不完全燃焼の面もありましたが、その分新鮮な議論が展開できたのではないかと感じられました。
 第2部は特別講演として、埼玉医科大学総合医療センターの高井泰先生に「がん・生殖医療のこれからのために」としてご講演いただきました。第1部で問題となった点や疑問点などに対する回答も包括した内容で、事前にお願いしていた訳ではないのに、まさに最適な内容を他分野からの参加者にも非常に解りやすくご解説いただきました。参加者からも、現在の生殖補助医療やがん生殖医療の現状について、「驚き」や「衝撃」といった言葉をいただきました。
 第2回GPOFsミーティングを終えて、がん・生殖医療の実践は多くの専門家が本音で意思疎通し、患者にとっての個別化された最善を見いだしていくことの重要性を再認識致しました。
 また本会の開催にあたり、ご多忙の折、悪天候の中、岐阜までお越しいただいた鈴木直先生、高井泰先生、高江正道先生には心より感謝致します。

岐阜県がん・生殖医療ネットワーク(GPOFs)ミーティング2015を終えて

古井辰郎

 第3回目の本ネットワークの勉強会を、平成27年1月23日に開催しました。昨年の大雪とは異なりまずまずの天気にも恵まれ、62名のがん・生殖医療に関心を持つ様々な職種のご参加をいただきました。
 最初に岐阜大学病院の竹中基記先生による「がん・生殖医療相談の現状」についての報告に続いて、聖マリアンナ医科大学の高江正道先生によるミニレクチャーで多岐に渡る職種の参加者に基本的な知識の整理を行っていただき、昨年同様「実症例を用いた意見交換」を行いました。最後は、内閣官房参与、慶応大学名誉教授の吉村𣳾典先生による特別講演というプログラムでした。
 岐阜大学病院での現状については、毎月3〜4例の相談があり、合計81例のうち、県外からも15例のご紹介があったこと、男女比は約1:2、相談後になんらかの妊孕性温存処置を行ったのは、男性では約9割、女性では約1/4程度であったことなどが報告されました。
 症例検討で準備したのは、非常に強い妊孕性温存の希望がありながら、医学的な観点からは妊孕性温存に対して慎重な判断が求められた2症例を準備いたしました。
 患者の自己決定権、それを支える十分な情報提供と実際の患者の理解、相談を行う上での医学的情報や評価の重要性など、結論はないものの様々な立場から色々なご意見を伺うことができ、がん治療の現場とがん・生殖医療相談の現場での意思疎通と問題意識の共有の重要性、他職種が関わることの必要性を再認識いたしました。
 岐阜大学乳腺外科准教授の二村学先生の的確な司会により、危惧されたお通夜状態になることなく議論は盛り上がり、1症例のみで終わらざるを得ない状況でした。
 吉村先生の特別講演では、生殖医学の基礎からがん治療による性腺毒性、その対策と現状、卵巣組織凍結の今後の可能性を一連の流れの中でご解説いただき、多くの参加者から、非常に分かりやすかったと大好評でした。さらに、子宮頸癌術後における代理懐胎の問題、広汎性子宮頸部切除術から最先端の子宮移植に至るまで多岐にわたる内容に参加者は惹きつけられるように勉強しておりました。

 今年も多くの先生のご支援により、勉強会を終えることができましたが、同時に3年目を迎えて、小児がんへの対応、がん・生殖医療のカウンセリングを行う上で看護・心理の専門家の介入など、今後解決すべき問題も浮かび上がってきました。こういった問題も少しずつGPOFs全体で意見を出しながら解決していければと考えております。

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岐阜県がん・生殖医療ネットワーク(GPOFs)ミーティング2017を終えて

古井辰郎

 5回目を迎え、中だるみの不安を持ちつつ1月27日(金)にGPOFsミーティングが開催されました。今年も、事例検討とミニレクチャーの第1部と、第2部は特別講演という構成で開催いたしました。
 第1部は岐阜大学病院がんセンター師長の苅谷三月先生の名司会と、岐阜市民病院小児科の門井絵美先生の「治療中に精子保存をした AYA 世代の超晩期再発 T-ALL 例」、大垣市民病院外科の寺崎先生による「未婚女性の妊孕性温存に対するアプローチはどこまですべきか?」というタイトルからして興味をそそられる症例提示をいただきました。不安は杞憂に終わり、様々な立場や観点からがん・生殖医療を考えるような議論となり、特別講演の西山教授にも議論にご参加いただき大変盛り上がりました。医師、看護師、相談員、行政、事務、心理士、遺伝カウンセラーと幅広い職種から73名もの大勢の参加者にお集まりいただきました。
 事例検討に引き続き、がん・生殖医療学会幹事長で聖マリアンナ医科大学の高江正道先生に「本邦における未受精卵子凍結・卵巣組織凍結の現状」のタイトルで、現在進行中の厚生労働省調査研究事業の中間報告をいただきました。
 この調査研究は、今後の妊孕性温存に関する患者支援のための政策への重要なもので、結果が期待されます。
 第二部は、筑波大学泌尿器科学教授の西山博之先生に「男性がん患者の長期 survivor の問題点~生殖医療の観点から~」と題したご講演を拝聴することができました。
 西山教授は、がん診療および研究者の立場でありながら生殖医療にも非常にご造詣が深く、現在がん治療学会「小児思春期,若年がん患者の妊孕性温存に関するガイドライン作成WG」でも中心的役割を担われており、鋭い視点から非常に参考になる内容を分かりやすくご解説いただき、参加者からは大好評を博しました。
 主催者の準備不足から、多くの不手際はあったかとは思われますが、多くの幅広い分野からの参加者、演者の先生、共催の中外製薬の皆様の熱意やご尽力により大成功に終わりましたことを心より感謝いたします。
 また、こういった他職種による勉強会を通して岐阜県におけるがん・生殖医療の発展が若年がん患者の支援に繋がることを期待しております。

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静岡県

静岡がんと生殖医療ネットワーク(SOFNETソフネット)の設立に寄せて

静岡がんと生殖医療ネットワーク 代表世話人 望月 修

 2015年1月4日に静岡県で「静岡がんと生殖医療ネットワーク」がShizuoka OncoFertility Network (SOFNETソフネット)の略称で立ち上がりました。ソフネットは浜松医科大学の産婦人科に事務局を置き、がん拠点病院、生殖医療施設、行政から世話人およびオブザーバー13名構成でスタートしました。
 県内の22医療施設に併設されている「がん相談支援センター」をがんと生殖に関する問い合わせの窓口とし、「医学的適応による未受精卵子および卵巣の凍結」に関する相談に応える中核生殖医療施設を東部、中部、西部の3地域に各2施設選定しました。まずは、これら生殖医療施設とがん相談支援センターとのネットワークの形成を今後目指していきます。
ソフネットが掲げる目標は
・若年がん患者への妊孕性温存法に関する正しい情報提供
・がん治療医と生殖治療医の迅速な連携
・がんサバイバーの妊娠・出産のサポート
の3項目です。

 そして、第1回静岡がんと生殖医療ネットワーク(SOFNET)設立記念講演会を2015年4月23日(木曜日)アクトシティホテル浜松「コングレスセンター21会議室」にて開催致しました。講演内容は「がん・生殖医療の実践~地域で完結するネットワーク構築の必要性について」と題し、特定非営利活動法人日本がん・生殖医療研究会(JSFP)の理事長である鈴木 直先生(聖マリアンナ医科大学産婦人科教授)にご講演を頂きました。約60名の医療関係者にご参集頂き、キックオフにふさわしい実りある講演会となり産婦人科以外のがん治療医から活発な質疑が多く寄せられ、この領域の重要性をあらためて痛感しました。
 がん治療と生殖治療はこれまで隙間医療でした。しかし、がん治療も生殖治療も共に日々進歩しています。一昔前では考えられないことが、今では可能となっている治療が沢山あります。それら最新かつ正確な情報を若年がん患者さんに知っていただくことが、ソフネットの目的です。そしてベストな自己決定ができるよう、患者さんに寄り添っていきたいと考えています。

 最後に、今回のソフネット設立にあたり、幹事の田村直顕先生を中心に浜松医科大学産婦人科の医局員の皆さんと共催製薬会社の皆さんに精力的なご尽力を頂きました。厚く御礼申し上げると同時に今後ともソフネットのさらなる発展のためご支援をよろしくお願い致します。

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第3回静岡がんと生殖医療ネットワーク(SOFNET)講演会 開催報告

SOFNET代表世話人 望月 修(2016/11/17)

 浜松市において11月12日(土曜日)に第3回静岡がんと生殖医療ネットワーク(SOFNET)講演会を開催いたしましたのでご報告させて頂きます。開催に先立ち、代表世話人の私から2016年度のSOFNET診療実態を報告させて頂き、講演会の挨拶に代えさせて頂きました。そのあと今回のテーマである「血液がん」に対し若手のホープで妊孕性温存に情熱を傾けている秋田大学血液内科の奈良美保先生から特別講演1として「血液疾患治療における妊孕性~選択する自由~」の演題名でご講演を頂きました。さらに特別講演2では岐阜大学産婦人科の古井辰郎先生から「がん・生殖医療連携としての岐阜モデルの現状と課題」と題して、がん・生殖医療の草分け的立場より今後の方向性を提示して頂きました。

 参加者は70名を超え、多方面の職種の方から活発な質疑応答を頂くことができ、明日からの新たな一歩に多大の力をいただけたすばらしい講演会となりました。これもひとえに当番世話人の静岡がんセンター乳腺外科、高橋かおる先生を中心にした関係各位のご支援の賜物と感謝申し上げます。まだまだ、この分野には課題が山積しておりますが、JSFPのお力添えを頂きながらSOFNETをスタッフ一同、がん患者さんのお役に立てるよう今後も成長させていきたいと念じております。

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兵庫県

がん・生殖医療ネットワーク「兵庫モデル構築」によせて

塩谷雅英

 兵庫県下では、これまで各生殖医療施設が独自に院内、あるいは近隣のがん治療施設と連携して未受精卵子・精子・受精卵の凍結を行ってきました。しかし、それでは連携のないがん治療施設の患者さんが妊孕性の温存についてカウンセリングをうける機会のないまま妊孕性を損失してしまう可能性があるため、がん患者に妊孕性温存法に関する十分な情報提供を行い、カウンセリングの機会を提供し、さらにはがん治療医と生殖医療専門医との連携・情報交換をスムーズに行うことを目標に、2015年4月、兵庫医科大学産科婦人科学教室柴原浩章教授より、兵庫県がん・生殖医療ネットワーク発足につきご提案がありました。これは神戸新聞に掲載されました。
 6月7日に開催された第89回兵庫県産科婦人科学会総会ならびに学術集会にて、兵庫医科大学産科婦人科学教室脇本裕先生より、岐阜モデルを参考にして兵庫県でも同様のネットワークを構築する必要性を提言していただきました。 その後、兵庫県産科婦人科学会理事会にて兵庫医科大学柴原教授より兵庫県がん・生殖医療ネットワーク設立につきご提案をしていただき、全会一致で採択されました。 現在、県内の生殖補助医療登録31施設に対し、医学的適応の卵子・胚・卵巣の凍結保存を実施する希望の有無をアンケート調査しており、今年度内にネットワークの完成と、兵庫県がん・生殖医療研究会の設立・第1回の講演会開催を目標にしています。

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滋賀県

滋賀医科大学におけるがんや自己免疫疾患などの患者さんに対する妊孕性温存の取り組み

木村文則

 滋賀医科大学では、がんや自己免疫疾患などの患者さんに対する妊孕性温存のために卵巣凍結保存および未受精卵凍結を2013年1月より行っています。滋賀医科大学の特徴として小児期の卵巣凍結保存も倫理委員会により承認されていることです。すでに2015年2月末までに5名の小児の卵巣凍結を行っています。また、国立大学附属病院ですが、年間300件程度の体外受精の採卵があることからその技術力をいかし、未熟未受精卵の体外培養および成熟未受精卵の凍結保存も行っています。これらの技術を駆使して患者さんにできるだけ多くの妊娠する機会を温存したいと考えています。

 2015年の2月11日には、平成26年度滋賀県がんと向き合う週間企画 がん治療と生殖医療 -滋賀県にがん・生殖医療ネットワークを!― を医療関係者を対象として開催しました。この際には、滋賀医科大学化学療法部の目方先生、河合先生が精力的に会の運営を行ってくださいました。がん患者さんの妊孕性の温存についての会をがん治療を行っているサイドの医療者が中心になって催したのは全国でも珍しいと思います。おそらく初めてではないでしょうか。会では各科からの妊孕性に関わる話題を発表していただいた後、岐阜大学の古井先生からネットワークの立ち上げにつきご講演いただきました。ネットワークを構築する際のご苦労や現在の運営状況など丁寧にご講演いただきました。さらに関係者によるパネルディスカッションを行い活発な議論が展開されました。100人を超える参加者があり非常に熱気に包まれました。現在、滋賀県にネットワークを構築中ですが、医療関係者に妊孕性を温存する技術の発展につき啓蒙していくことの大切さと患者の紹介の速やかな流れの必要性が再認識され非常に有意義な会でした。

 2015年4月1日より滋賀医科大学女性診療科にがん妊孕外来を設置することとしました。毎週月曜日から金曜日の9時から12時とし随時紹介患者さんを受け入れ、診療を行いやすい状況としました。このような取り組みは、国立大学病院としては初めてでありどのような状況となっていくか皆様に見守って頂きたいと考えています。

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岡山県

岡山県でのとりくみ

 岡山大学病院では市内の医療施設と連携して,悪性腫瘍の治療に伴う妊孕性の低下に対応するため,従来から配偶子・卵巣凍結保存を行ってきました.血液腫瘍,骨腫瘍,乳がんなどの方々を治療する腫瘍専門医と生殖医療専門医とが個別に連携して,この取り組みを行っていましたが,さらに多くの悪性腫瘍を取り扱う診療科を含めて,この問題を考えていきたいと考えています.
 2013年12月,そのような目的で,岡山において「がん患者の生殖医療を考えるネットワーク」を立ち上げることになりました.今後は,医療施設や診療科の境を超えて賛同者の輪を広げていく予定です.
 岡山大学では,医学部と農学部が連携(医農連携)して,2013年10月に岡山大学生殖補助医療技術教育研究センター(ARTセンター)を開設し,生殖補助医療では欠かせない胚培養士(エンブリオロジスト)の養成や,現職の胚培養士(エンブリオロジスト)のリカレント教育を開始しました.岡山大学の社会貢献事業として,ARTセンターにおいても配偶子・性腺凍結の技術や施設・診療科間の連携システムの開発に取り組みます.また,従来通り,岡山大学病院内に開設されている岡山県不妊専門相談センター(岡山大学大学院保健学研究科事業)においても不妊カウンセラーが悪性腫瘍の治療に伴う妊孕性温存に関連する相談や精神支援を行います.
 徐々にではありますが,地域の方々のために「がん患者の生殖医療を考えるネットワーク」を充実した形にしていきたいと思っています.

2013年12月22日
岡山大学生殖補助医療技術教育研究センター キックオフシンポジウムに寄せて

岡山大学病院産婦人科
岡山大学生殖補助医療技術教育研究センター
岡山大学大学院保健学研究科
中塚幹也

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広島県

広島県でのとりくみ

 県立広島病院では以前より市内の医療施設と連携して、悪性腫瘍の治療に伴う妊孕性の低下に対応するため、配偶子・胚の凍結保存を行ってきました。さらに、広い範囲の悪性腫瘍の妊孕性温存に対応するため、2014年末からは卵巣凍結もできる体制をほぼ整えることができました。広島大学乳腺外科では、今年1月より臨床研究「薬物療法を要する妊娠可能年齢の乳癌患者を対象にした妊孕性温存支援に関する前向きコホート研究」が始まっています。これまでは、血液腫瘍、骨腫瘍、乳がん、睾丸腫瘍などの方々を治療する腫瘍専門医と生殖医療専門医とが個別に連携してこの取り組みを行ってきましたが、これからはより有機的な組織作りをするため、がん拠点病院・行政とも連携して広島県レベルでの診療科間ネットワークの構築、がん生殖医療に関する更なる周知啓発に努め、地域間での繋がりも作って行きたいと考えています。

 2015年5月30日には広島生殖医療研究会で特定非営利活動法人日本がん・生殖医療研究会(JSFP)の理事長である鈴木 直先生(聖マリアンナ医科大学産婦人科教授)をお招きして、世界的日本的な視野から妊孕性温存の現状をお話していただくことになりました。合わせて、県立広島病院生殖医療科での取り組みの一部と、広島大学乳腺外科での臨床研究の取り組みについての講演を予定しております。この会は広島がん・生殖医療研究会のプレキックオフミーティングとなることを期待して、下記の要領で行いますので関心を持たれた医療関係者の方は、気軽にご参加下さい。

2015年5月17日
県立広島病院 生殖医療科
広島生殖医療研究会 代表世話人
原 鐵晃

第7回広島生殖医療研究会
日時:平成 27年 5月 30日(土) 18:30~21:30
場所:ホテルグランヴィア広島 3階「悠久」 
   広島市南区松原町1番5号 TEL:082-262-1111

一般演題
18:30~18:35 県立広島病院における妊孕性温存および広島県の現状
         県立広島病院 生殖医療科 原 鐵晃
18:35~18:50 乳癌患者を対象にした妊孕性温存支援に関する取り組み
         広島大学原爆放射線医科学研究所 腫瘍外科 角舎 学行

特別講演
18:50~19:50 がんと生殖に関する諸問題 ~がん・生殖医療の実践に向けて~
         聖マリアンナ医科大学 産婦人科 教授 鈴木 直

*参加費 1000円
*講演後、意見交換会を行います。

福岡県

2016年6月3日に福岡がん・生殖医療症例検討会が開催されました。

 第3回福岡がん・生殖医療症例検討会が開催されました。
講演は「乳がん患者のがん生殖治療における採卵・胚凍結時期に関しての症例報告」(詠田由美先生)、
および「妊娠と血液疾患-治療の進歩とともにかわりつつある対応」(加藤浩二先生)。


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福岡 がんと生殖 症例検討会

 近年、がんに対する手術療法、化学療法や放射線療法を中心とした集学的治療法の進歩に伴って治療成績がめざましく向上しましたが、一方、若年女性のがん罹患率は徐々に増加傾向を示しています。晩婚化の背景も影響して、一部の女性がん患者さんでは、治療中に妊娠年齢を超えてしまう問題や、病状が改善後の早発卵巣機能不全(早発閉経)など、女性としてQOLの低下や妊孕能(妊娠の可能性)消失などの問題を抱えることになります。
 現在、Cancer SurvivorのQOLが求められる時代となり、生殖医療技術を用いた妊孕性温存の気運が高まっています。妊孕性温存には様々なアプローチがありますが、胚の凍結保存は最も歴史の長い治療で、福岡市内でも数箇所の生殖医療専門施設が不妊患者さんを対象に同法を実施しています。
 がん患者さんは「癌の告知」という自己の生命に関する極めて深刻な宣告を受けた上に、十分な生殖医療技術の情報を得られないまま、がん治療開始までの短い期間に妊孕性温存治療の決定を迫られるという不妊症患者よりも複雑な心理葛藤を持って生殖医療専門施設を受診されるのも現状です。
妊孕性温存に関する患者さんへの的確な情報の提供と、自己決定の機会を与え、原疾患の治療に支障を来たすことなく妊孕性温存を進めて行くには、がん専門医と生殖医療専門医の密接な情報交換が必要と考えられます。
 以上の状況を踏まえ、外科・産婦人科からなる発起人は「がんと生殖症例検討会」を開催することを提案しました。これまで情報交換をする機会がありませんでしたが、症例を検討しながら、がん専門医と生殖医療専門医の意見交換を進めて行きたいと考えております。

世話人
加藤聖子(九州大学医学部医学研究院臨床医学部門生殖発達医学教授)
大野真司(九州がんセンター乳腺外科、臨床腫瘍研究部長)
井上善仁(国家公務員共済浜の町病院産婦人科部長)
詠田由美(IVF詠田クリニック院長)
江頭活子(九州大学病院産婦人科)

福岡 がんと生殖 症例検討会

日時平成26521日(水) 19時~2030
場所医療法人アイブイエフ詠田クリニック セミナールーム
   福岡市中央区天神1丁目12-1 日之出福岡ビル7

テーマ:妊孕性温存を目的に胚・卵子を凍結保存した2症例
進行:九州がんセンター臨床研究センター 大野真司

演題1:乳がん治療開始前に胚凍結保存を行った一例
    浜の町病院産婦人科 井上善仁

演題2:再生不良性貧血治療前に胚・卵子凍結保存を行った一例
    アイブイエフ詠田クリニック 詠田由美

 

第1回 福岡がん生殖症例検討会総評


 若年がん患者の妊孕性温存の取り組みが全国的に進む中、平成26年5月21日、福岡市においても初めてのがん生殖症例検討会が開催されました。
 数年前より福岡市のおいては、癌患者への妊孕性温存の取り組みは始まっており、すでに癌専門医からの紹介を受けた生殖専門医は、胚や卵子の凍結保存を行って来た経緯はあります。この領域は緊急性を要するため、互いに文書でのやり取りで、妊孕性温存を行って来ましたが、今回初めて癌専門医、生殖専門医、専門看護師、培養士、心理士などがん患者の妊孕性温存を取り巻く専門家が、鼻を突き合わせて話す機会が実現しました。
 この領域の意見交流をどのような形式で進めていくか、発起人会で検討した結果、患者にどのように対応してきたのかを一例一例ディスカッションすることが最も望ましい形式であろうとの結果となり、第1回は症例検討会の形式としました。
 当日は会場が手狭であったことより、各医療機関からの参加者数を若干制限せざるを得ませんでしたが、17施設42名の出席をいただきました。(詠田由美 記)

 症例検討を通して、相手領域の医療を知ったことは極めて重要であると認識いたしました。また何よりも顔の見えるネットワーク構築がスタートできたと実感しております。 (大野真司 記)

 第一回の福岡がん生殖症例検討会で発表の機会を頂き有り難うございました。生殖医療担当医、癌治療医、培養士、生殖医療コーディネーター、認定看護師など多くの方が参加して下さり、有意義な会であったと思います。今後もこの活動を継続し、癌治療医の先生が妊孕性温存を希望する患者の紹介に悩まぬように、また生殖医療医が癌患者に対してどのような治療が最善であるかを充分に認識できるよう、今後の活動を進めていきたいと思っております。
 今回の検討会で皆さんと顔を付き合わせて議論が出来たことでまだまだ分からない事も実に多いことを再認識しました。一人でも多くの妊孕性温存を望むがん患者さんに皆の力を合わせて最善の医療を提供できるように努力を続けて行きたいと思います。(井上善仁 記)

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  • 会場風景
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大分県

2014年 7月13日(日) ホルトホール大分にて「第2回大分がん・生殖医療研究会 公開講座」を開催

 この公開講座は、大分県内の市民や、九州内のがん治療施設関係者にこの技術を広く知っていただくことを目的として行われました。

 講師には成田円先生(虎の門病院血液内科移植コーディネーター)、岡田弘先生(獨協医科大学越谷病院 泌尿器科)、大野真司 先生(国立病院機構九州がんセンター臨床研究センター)、鈴木直先生( 聖マリアンナ医科大学産婦人科学 日本がん・生殖医療研究会代表 )を、座長には上尾裕昭先生 (うえお乳腺外科院長)、吉村泰典先生(日本産科婦人科学会前理事長、内閣官房参与)をお迎えしました。

 主にがん治療関係者やがん支援センターで患者支援を行っている方々が参加され、妊孕性温存技術や、その技術の必要性について学び、各方面の医療者が連携をとって患者さんのQOL向上のために啓発していく必要性について勉強しました。

当日プログラムのPDFはこちら。

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  • 成田 円先生
  • 鈴木 直先生
  • 吉村泰典先生

長崎県

長崎大学におけるがん生殖医療への取り組み

 長崎大学産婦人科では、悪性腫瘍に対する治療で将来の妊孕性が著しく低下してしまう可能性がある女性に対して、未受精卵凍結あるいは卵巣組織凍結を開始しています。
 妊孕性温存には、実際に悪性疾患の治療を行う側と生殖医療を行う側との緊密な連携が重要であり、地域の医療提供者間のネットワークを作っていく必要があります。一方で、がん治療後の妊孕性やその温存のための治療法に関する知識や意識のレベルは個々の医療従事者により様々であり、若年者のがん治療に関わる医療従事者に対して、がん・生殖医療について周知・啓発を行うことが地域のネットワーク構築に先立って重要となります。

 このような目的から、長崎大学産婦人科では、2014年7月22日に開催された第22回長崎障害者支援再生医療研究会において、日本がん・生殖医療研究会の代表で聖マリアンナ医科大学産婦人科の鈴木 直教授をお招きし、『がん・生殖医療の実践 −若年性がん患者に対する妊孕性温存の諸問題について』と題して特別講演を行っていただきました。本研究会は、長崎で再生医療の関わる医療者が診療科横断的に集まり、定期的に開催されているものです。当日は内科、外科、歯科など多くの領域から約80名の医療関係者に参加していただきました。がん治療が妊孕性に及ぼす影響についての最新知見からサルでの基礎研究まで、網羅的な鈴木教授の講演に、多くの参加者が熱心に聞き入っていました。講演後は、とくに実際のがん治療の関わっている外科系の先生方から多くの質問がありました。

 今後は、長崎での診療科間ネットワークの構築、がん生殖医療に関する更なる周知啓発に努め、地域間での繋がりも作って行きたいと考えています。

当日プログラムのPDFはこちら。

長崎大学 産婦人科
北島 道夫

熊本県

熊本県におけるがん・生殖の地域医療連携について

 熊本県では、県内のがん・生殖医療のネットワーク構築を始めるにあたって、ハブとなる生殖医療・がん連携センターを熊本大学医学部附属病院内に設置し、平成28年4月1日よりがん診療科や産婦人科の医師、がんセンター内相談窓口担当の看護師など21名をコアメンバーとしてその活動を開始しました。4月26日には、岐阜大学の古井准教授をお招きし、キックオフミーティングを開催して熊本県内のがん診療拠点病院へ熊本県がん・生殖ネットワークの存在を周知し、その活動を開始する予定でしたが、4月14日と16日に発生した熊本地震のため延期せざるを得なくなりました。
 改めて6月29日にキックオフミーティングが開催され、熊本県内各地から150名を超える参加者がありました。ミーティングでは、まず熊本大学医学部附属病院産科婦人科の本田律生講師による「熊本大学医学部附属病院 生殖医療・がん連携センターの役割について」の講演があり、がん・生殖ネットワークの紹介や患者さん紹介の流れについての説明がありました。次いで岐阜大学大学院医学系研究科産科婦人科学の古井辰郎准教授による「小児およびAYA世代がん患者のがん治療と生殖機能〜がん・生殖医療連携としての岐阜モデルの現状〜」の御講演があり、これからわれわれが目指す方向性をお示し頂きました。御講演後には多くの具体的な質問があり、がん・生殖医療ネットワークへの潜在的な需要の高さがあると感じられました。
 キックオフミーティングから4ヶ月が経過し、未受精卵子凍結が2症例、胚凍結1例、精子凍結3例と少しずつ症例が増えてきました。しかしながら、ほとんどが熊本大学医学部附属病院の症例であり、県内他施設からの紹介が少ない状況です。県内のがん拠点病院の医師のみならず、地域医療連携やがん相談支援に携わる多職種の担当者に向けての広報活動が課題であると感じました。今後がん患者さんが必要とする情報を正確に伝えられるよう、活動していきたいと考えています。

熊本大学大学院 生命科学研究部 産科婦人科学 講師
岡村 佳則

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沖縄県

沖縄県における「がんと妊孕性」に関する取り組みについて

 全国の皆様、沖縄県における「がんと妊孕性」に関する取り組みについてご報告いたします。

2014年7月31日
「癌治療と妊孕性に関するネットワーク構築のための準備委員会」 発足

mission:
沖縄県における癌治療に関わる“妊孕性問題”の解決

vision:
沖縄県内における妊孕性問題を抱える患者及びその伴侶に対して、解決していくための情報提供・連携システムの構築と運用を目指す。

action:
I. システム構築までの準備委員会の立ち上げ
II. ネットワークの立ち上げ
III. 運用及びその評価

議事抜粋:
沖縄県内の癌発生数や年齢層よりある一定の需要が見込まれる。乳腺外科と大学婦人科にて先行的試験運用を行い、その後に他癌腫も含めた県内ネットワーク立ち上げ及び運用を進める。年度内にキックオフ検討。

 まだ動き出したところですが、全国の先生方のアドバイスも頂きつつ、沖縄県に適したネットワーク構築を目指しますので、ご理解とご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

出席者一覧:(敬称略)
琉球大学大学院医学研究科環境長寿医科学女性・生殖医学講座
周産母子センター
 青木陽一、銘苅桂子、平敷千晶、安里こずえ、大石杉子
沖縄産婦人科医会会長、医療法人 杏月会ALBA OKINAWA CLINIC
 佐久本哲朗
沖縄県医師会理事、首里城下町クリニック
 田名毅
那覇西クリニック
 玉城信光、鎌田義彦、上原協、玉城研太朗

平成26年9月吉日
医療法人那覇西会那覇西クリニック
上原 協

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