静岡県
日本がん・生殖学会のホームページでもご覧いただけます。
静岡がんと生殖医療ネットワーク(ソフネット)の現状と活動報告
ソフネット幹事(浜松医科大学産婦人科) 田村 直顕
ソフネットは2018年1月に設立後3年目を迎えます。静岡県は県東部から県西部まで距離が非常に長いこともあり、ソフネットでは、県東部、中部、西部のソフネット生殖医療連携施設の不妊クリニックと総合病院産婦人科が、それぞれの地域でがん治療施設と連携してがん患者の妊孕性温存についての相談に対応する構図となっています。2016年1月から12月までの1年間にソフネット生殖医療連携施設で妊孕性温存について相談を受けた女性患者は28名で、その内17名(約60%)が乳がん患者でした。男性患者は27名でした。現在、妊孕性温存療法としての卵子、胚、精子の凍結保存は、ソフネット生殖医療連携施設または施設間で連携して実施しています。卵巣組織凍結は2017年4月以降、ソフネット生殖医療連携施設内で実施できない状況になっているため、卵巣組織の凍結保存を希望される方が発生した場合は、近隣のネットワークの皆様にご協力いただけますよう相談させていただきたく存じます。
また、ソフネットは、地域で妊孕性温存療法を円滑に提供できる体制を構築することだけではなく、がん治療と生殖医療の従事者が互いに連携してがん患者やがんサバイバーに対し、妊孕性温存や妊娠・出産に関して正しい情報を提供することも大切な目的としています。そのためには、がん生殖医学自体を広く普及させる必要があり、一人でも多くの方にがん生殖医療に関心を持っていただきたい一心で、皆が顔をあわせる機会を設けることも兼ねて、ソフネット講演会を定期的に開催させていただいております(ソフネットホームページご参照ください)。がん生殖医療は、元来、専門領域と職種で縦割りされている医療の中で、とりわけ領域と職種の垣根を超えた連携を必要とする分野であると考えます。今後も、地域で顔の見えるがん生殖医療連携を展開できるようソフネットは活動を続けて参ります。
静岡がんと生殖医療ネットワーク(SOFNETソフネット)の設立に寄せて
静岡がんと生殖医療ネットワーク 代表世話人 望月 修
2015年1月4日に静岡県で「静岡がんと生殖医療ネットワーク」がShizuoka OncoFertility Network (SOFNETソフネット)の略称で立ち上がりました。ソフネットは浜松医科大学の産婦人科に事務局を置き、がん拠点病院、生殖医療施設、行政から世話人およびオブザーバー13名構成でスタートしました。
県内の22医療施設に併設されている「がん相談支援センター」をがんと生殖に関する問い合わせの窓口とし、「医学的適応による未受精卵子および卵巣の凍結」に関する相談に応える中核生殖医療施設を東部、中部、西部の3地域に各2施設選定しました。まずは、これら生殖医療施設とがん相談支援センターとのネットワークの形成を今後目指していきます。
ソフネットが掲げる目標は
・若年がん患者への妊孕性温存法に関する正しい情報提供
・がん治療医と生殖治療医の迅速な連携
・がんサバイバーの妊娠・出産のサポート
の3項目です。
そして、第1回静岡がんと生殖医療ネットワーク(SOFNET)設立記念講演会を2015年4月23日(木曜日)アクトシティホテル浜松「コングレスセンター21会議室」にて開催致しました。講演内容は「がん・生殖医療の実践~地域で完結するネットワーク構築の必要性について」と題し、特定非営利活動法人日本がん・生殖医療研究会(JSFP)の理事長である鈴木 直先生(聖マリアンナ医科大学産婦人科教授)にご講演を頂きました。約60名の医療関係者にご参集頂き、キックオフにふさわしい実りある講演会となり産婦人科以外のがん治療医から活発な質疑が多く寄せられ、この領域の重要性をあらためて痛感しました。
がん治療と生殖治療はこれまで隙間医療でした。しかし、がん治療も生殖治療も共に日々進歩しています。一昔前では考えられないことが、今では可能となっている治療が沢山あります。それら最新かつ正確な情報を若年がん患者さんに知っていただくことが、ソフネットの目的です。そしてベストな自己決定ができるよう、患者さんに寄り添っていきたいと考えています。
最後に、今回のソフネット設立にあたり、幹事の田村直顕先生を中心に浜松医科大学産婦人科の医局員の皆さんと共催製薬会社の皆さんに精力的なご尽力を頂きました。厚く御礼申し上げると同時に今後ともソフネットのさらなる発展のためご支援をよろしくお願い致します。
※クリックで演題がご覧いただけます。
『SOFNET これまでの歩み 』 聖隷三方原病院 産婦人科・生殖診療科 望月 修先生