岐阜県


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JSFP がん・生殖医療連携会議およびOncofertility Consortium JAPAN meeting 2016 準備会議〈2016年7月 30日〜31日〉

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『地域完結型がん・生殖医療連携の全国展開について(堀部班での取り組み)』岐阜大学大学院医学系研究科 産科婦人科学分野 古井 辰郎先生


岐阜県がん・生殖医療ネットワーク(GPOFs)ミーティング2015を終えて

古井 辰郎

 第3回目の本ネットワークの勉強会を、平成27年1月23日に開催しました。昨年の大雪とは異なりまずまずの天気にも恵まれ、62名のがん・生殖医療に関心を持つ様々な職種のご参加をいただきました。
 最初に岐阜大学病院の竹中基記先生による「がん・生殖医療相談の現状」についての報告に続いて、聖マリアンナ医科大学の高江正道先生によるミニレクチャーで多岐に渡る職種の参加者に基本的な知識の整理を行っていただき、昨年同様「実症例を用いた意見交換」を行いました。最後は、内閣官房参与、慶応大学名誉教授の吉村𣳾典先生による特別講演というプログラムでした。
 岐阜大学病院での現状については、毎月3〜4例の相談があり、合計81例のうち、県外からも15例のご紹介があったこと、男女比は約1:2、相談後になんらかの妊孕性温存処置を行ったのは、男性では約9割、女性では約1/4程度であったことなどが報告されました。
 症例検討で準備したのは、非常に強い妊孕性温存の希望がありながら、医学的な観点からは妊孕性温存に対して慎重な判断が求められた2症例を準備いたしました。
 患者の自己決定権、それを支える十分な情報提供と実際の患者の理解、相談を行う上での医学的情報や評価の重要性など、結論はないものの様々な立場から色々なご意見を伺うことができ、がん治療の現場とがん・生殖医療相談の現場での意思疎通と問題意識の共有の重要性、他職種が関わることの必要性を再認識いたしました。
 岐阜大学乳腺外科准教授の二村学先生の的確な司会により、危惧されたお通夜状態になることなく議論は盛り上がり、1症例のみで終わらざるを得ない状況でした。
 吉村先生の特別講演では、生殖医学の基礎からがん治療による性腺毒性、その対策と現状、卵巣組織凍結の今後の可能性を一連の流れの中でご解説いただき、多くの参加者から、非常に分かりやすかったと大好評でした。さらに、子宮頸癌術後における代理懐胎の問題、広汎性子宮頸部切除術から最先端の子宮移植に至るまで多岐にわたる内容に参加者は惹きつけられるように勉強しておりました。

 今年も多くの先生のご支援により、勉強会を終えることができましたが、同時に3年目を迎えて、小児がんへの対応、がん・生殖医療のカウンセリングを行う上で看護・心理の専門家の介入など、今後解決すべき問題も浮かび上がってきました。こういった問題も少しずつGPOFs全体で意見を出しながら解決していければと考えております。


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岐阜県がん・生殖医療ネットワーク(GPOFs)ミーティング2014を終えて

古井 辰郎

 昨年に引き続き、2月14日にGPOFsのミーティングを開催いたしました。金曜日でバレンタインデー、さらに大雪にまで見舞われ、勉強会の開催にとっては重なる悪条件の中、がん治療および生殖医療に携わる医師、看護師のみならず、倫理学、臨床心理学、行政など幅広い分野を専門とする、約50人のOncologic health care providersの参加をいただき、熱いディスカッションを交わす事が出来ました。
 会に先立ち、コーディネーターおよびアドバイザーの先生方と、本ネットワークの問題点や運営方法に関する意見交換の場を持ちました。
 会の前半では、「第1部 若手腫瘍医によるワークショップ(JSFP教育プログラム)」として、岐阜県内の主要がん治療施設より乳腺外科、外科、小児科、泌尿器科、整形外科6人の若手腫瘍医の先生方にご参加いただきました。ここでは実際の症例を提示し、その経過に沿って各ステップで個々が疑問に思う点、考える事、そしてどう対処しているかなどを話していただき、JSFPから鈴木理事長、高江幹事長、特別講演の高井先生も交えて、がん・生殖医療を実践している側とともにディスカッションしながら進行致しました。今回は、25歳未婚、Ⅲ期のtriple negative乳癌症例、38歳既婚(出産歴無し)のⅡ期乳癌(Luminal A)の2症例のディスカッションを行いました。特に前者においては、非常に悩ましい問題を包括しているため、乳癌治療医以外のパネリストも考えさせられる点が大きかったようでした。
 こういった実際の症例を通して、がん・生殖医療を考える上で、がん治療を最優先することは大前提であるものの、治療と妊孕性に関する情報提供(できれば温存処置)に関しては、がん治療医と患者の間で「思い」に温度差が依然存在していること、それを「がん・生殖医療外来」のようなものが適切に埋めるためにはどうすべきか考える事の必要性を実感致しました。最後のまとめとしては、高江先生から若年がん患者の妊孕性の問題を考える上で、がん治療の内容、患者の年齢、子供の有無、などを総合的に考える必要があり、個々の症例毎に慎重に考えることの重要性が強調されました。
 実際の症例を用いたパネルディスカッションという初めての試みで、不手際や不完全燃焼の面もありましたが、その分新鮮な議論が展開できたのではないかと感じられました。
 第2部は特別講演として、埼玉医科大学総合医療センターの高井泰先生に「がん・生殖医療のこれからのために」としてご講演いただきました。第1部で問題となった点や疑問点などに対する回答も包括した内容で、事前にお願いしていた訳ではないのに、まさに最適な内容を他分野からの参加者にも非常に解りやすくご解説いただきました。参加者からも、現在の生殖補助医療やがん生殖医療の現状について、「驚き」や「衝撃」といった言葉をいただきました。
 第2回GPOFsミーティングを終えて、がん・生殖医療の実践は多くの専門家が本音で意思疎通し、患者にとっての個別化された最善を見いだしていくことの重要性を再認識致しました。
 また本会の開催にあたり、ご多忙の折、悪天候の中、岐阜までお越しいただいた鈴木 直先生、高井 泰先生、高江 正道先生には心より感謝致します。


岐阜モデル

 岐阜県では、平成25年2月15日に「岐阜県がん・生殖医療ネットワーク」が立ち上がりました。このネットワークは、若年がん患者さんに治療前に妊孕性低下に関する十分な情報提供、カウンセリングや妊孕性低下の予防処置の適応の検討やその選択肢の提供を円滑かつ迅速に提供することと、がん治療医および生殖医療専門医が連携・情報交換を容易にするためのものです。ネットワーク発足時点で県内のがん治療、生殖医療、行政、医師会、医療倫理学の各分野から平成25年2月15日現在24施設、52部門(診療科等)から116名の各分野の専門家が参加しております。
 参加者へのアンケートの結果からは、岐阜県内のがん治療医は治療(手術、化学療法、放射線治療)による妊孕性低下について一定の知識を持ちながらも、その対策について環境が整備されていないため、患者に対して十分なカウンセリングや各種選択肢の提案に躊躇している現状がうかがわれました。
 がん治療医と生殖医療専門医がお互いの分野を超えて対応するネットワークが患者への情報提供やその後の対応を円滑に行う上で非常に大きな役割を果たす可能性が再認識されました。
 また、平成25年2月18日には岐阜大学医学部附属病院がんセンター内に「がん生殖医療相談」を開設し、このネットワークを通じて医療機関の垣根を越えて患者さんのがん治療と妊孕性に関するカウンセリング、妊孕性温存治療およびがん治療後の不妊治療のために適切な生殖医療施設への紹介を目的としています。
 更に岐阜大学医学部附属病院では、がん治療前後の卵巣凍結保存と融解卵巣組織の自家移植についても対応可能となりました。
 この取り組みを通して、岐阜県の医療従事者全体で若年がん患者の皆様に対する治療前の不安の軽減、妊孕性温存処置、がん治療後の妊娠のサポートに貢献できればと考えております。

ぎふがんねっと(将来の出産に備えて) http://gifugan.net/wp/norikoeru/syussan/
岐阜大学医学部附属病院がんセンター http://hosp.gifu-u.ac.jp/center/gan/index.html


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