「日本の「がん・生殖医療」発展のために」

がん治療と妊娠~がん治療後の将来を見据えて~

サイトマップ

一般の方・患者のみなさま

妊よう性温存の診療

がん治療による妊よう性低下といっても、がん治療の種類によってもその治療内容と妊よう性低下の程度は様々です。ここでは、化学療法、放射線治療、手術について、それぞれの妊よう性に与える影響とその対策についてご説明します。

①化学療法

ある種の化学療法薬は卵巣や精巣(睾丸)に毒性を示し、治療後に卵子や精子が消失する可能性があります。こういった可能性が高いと考えられる方には以下のような選択肢があります。

女性

  • ・ 卵子・受精卵凍結保存:排卵誘発および経腟的なモニタリングが必要であり、思春期前女児には不適(また、受精卵をつくるためには相手の男性の精子が必要となります)
  • ・ 未熟卵採取・体外培養後の凍結:現時点は研究レベル
  • ・ 卵巣組織凍結保存:手術が必要で凍結保存に関して、現時点は研究レベル(現在、幾つかの施設にて臨床試験が行われております)
  • ・ 薬剤による卵巣休眠療法:GnRHアゴニストという薬剤を用いて卵巣の働きを抑制することで化学療法の卵巣へのダメージを回避する方法。効果については賛否両論。

男性

・精子凍結保存(思春期以降)

② 放射線照射

卵巣や精巣に対して一定量の放射線が照射されると卵子や精子が消失し、 妊よう性を大きく損なう結果となります。

 

女性

  • ・ 卵巣位置移動:手術が必要で妊娠には体外受精が前提、全身照射には無効
  • ・ 卵巣遮蔽:現在、幾つかの施設で臨床試験が行われております  
  • ・ 卵子・受精卵凍結保存:排卵誘発および経腟的なモニタリングが必要であり、思春期前女児には不適(また、受精卵をつくるためには相手の男性の精子が必要となります)
  • ・ 未熟卵採取・体外培養後の凍結:現時点は研究レベル
  • ・ 卵巣組織凍結保存:手術が必要で、凍結保存に関しては現時点では研究レベル(現在、幾つかの施設にて臨床試験が行われております)

男性

・ 精子凍結保存(思春期以降)

High risk(>80%)rann 白血病などへの造血幹細胞移植・卵巣を含む外照射・乳癌(40歳以上)へのCMP/CEF/CAF
Intermediate risk 乳癌(30~39歳)へのCMP/CEF/CAF療法・乳癌(40歳以上)へのAC療法
Lower risk(<20%) Hodgkin病へのABVD療法・non-Hodgkin病へのCHOP/CVP療法・AML治療・ALL治療・
乳癌(30歳未満)へのCMP/CEF/CAF療法・乳癌(40歳未満)へのAC療法
Very low or No risk ビンクリスチン・メソトレキセート・フルオロウラシル
Unknown タキサン系・オキザリプラチン・イリノテカン・モノクローナル抗体・チロシンキナーゼ阻害剤

③ 手術(子宮頚がん、子宮体がん、卵巣がん、精巣腫瘍)

婦人科がんでは、一定以上の進行期やがんの種類によっては子宮や卵巣そのものを摘出することが標準治療とされており、絶対的な不妊となります。そこで厳密な条件の下、以下のような妊よう性温存治療が考慮されます。

  • ・ 子宮頚がん

    〜IA1期:円錐切除術
    〜IB1期:広汎子宮頸部切除術(トラケレクトミー)

  • ・ 子宮体がん(高分化型腺癌)

    〜筋層浸潤が疑われないIA期:黄体ホルモン療法

  • ・卵巣がん

    〜Ia期(一部のタイプを除く):患側卵巣・卵管切除術